NTTドコモのコンテンツ戦略は"リッチ"&"リアル"
~ 世間で流行っているものはケータイでも流行る ~
最初の講演となったNTTドコモ。壇上にはコンテンツ&カスタマ部 山口善輝氏が立ち、今後のドコモのコンテンツ戦略を語った。
端末については、movaからFOMAへのシフトが順調に進行。2006年3月には1対1の比率となるのが現実味を帯びてきた。6月末でのデータではFOMAが約330万契約。そのうちパケ・ホーダイ利用者は約24%となっている。しかし、FOMAの新規契約者で見ると、パケ・ホーダイ契約者が40%と高い。またFOMAとmovaを比べると、有料マイメニュー登録がFOMA67.6%、mova40.5%とFOMAが高い。1人あたりの平均情報料もFOMA752.8円でmova430.1円とFOMAが高い。このような実状を紹介しながら、ユーザのFOMAへの移行により、コンテンツのさらなる伸びが期待できるとした。
現在の注目コンテンツとしては、音楽、特に着うたと着モーション、デコメール、ショッピング、電子ブックなどを取り上げた。その中でも、占いの伸びを例にあげ、一時低迷していたが、一般の市場で流行ってくると、ケータイコンテンツも同様に流行ることを説明していた。韓流についても好調に推移してきている。今後必要なのはリアル&リッチ。とくにリアル連動は積極的に推進していくとのことだ。
定額プランでインパクトをあたえたウィルコム
~ マイクロセルのメリットを生かした戦略を ~
ウィルコムは、事業促進部長 立石篤申氏がビジネス戦略を解説。2005年にDDIポケットからウィルコムに社名変更してから音声定額開始、新端末の順次投入といった取り組みをピックアップ。いままでデータ通信に特化していたが、音声にも力を入れ始めた。純減傾向から純増にも転じている。
今後は、ウィルコムならではのマイクロセルネットワークのメリットを生かした各種定額サービスを展開。2005年度に人口カバー率99%と面での充実を図る。マイクロセルではトラフィックを分散しやすいだけでなく、低出力での通信が可能。これによりSAR値が少なくなる。このメリットにより、全国1200以上の病院での導入を行っている。
また、音声市場にも力を入れていく。端末のバリエーションが少ないという問題も、音声端末を一挙4機種順次投入することで解消。各端末で特徴を持たせ、たとえば、「WX310K」ではBluetoothに対応し、「WX310J」では指紋認証デバイスを搭載でビジネス需要に対応する。また、ハードルが高い無線部分の設計が必要ないW-SIM構想により、幅広いメーカーの参加を促すとともに、ニッチな市場の掘り起こしも進めていくとした。
日本発の技術"TD-CDMA"を生かすアイピーモバイル
~ 効率のよいデータ通信を武器に新規参入 ~
アイピーモバイルからは、取締役 丸山孝一氏が事業戦略を説明。日本発の技術TD-CDMAを使ったデータ通信戦略を語った。
TD-CDMAは慶応義塾大学の中川研究室と共同研究からスタート。世界で標準化していった。時間による分割を行うため効率がよい。また電力制御に関しても優れている。海外では、ヘリコプターを使った時速250kmでの移動中の通信が実験により確認されている。このTD-CDMAを活用して2006年10月にサービスを開始する。
当初は東名阪からスタートし、2012年までに全国をカバー。これまで通信事業者が行ってきた垂直統合型のビジネスモデルではなく、端末やコンテンツを開放したビジネスモデルを構築したいとのことだ。
次世代デジタルコンテンツ配信形式のメディアストレージ型
~ ケータイ白書2006の分析結果から ~
モバイル・コンテンツ・フォーラム事務局長 岸原孝昌氏は、モバイルビジネスの現状と今後を分析。3Gと定額制により、モバイルコンテンツ市場が今後さらなる拡大をしていくことを語った。急拡大しているのは、リッチコンテンツの市場。その筆頭は着うた市場だ。そして、ゲーム、物販、オークション、コマースなどの拡大も目立っている。また、電子書籍の利用も増えている。
各キャリアのプラットフォームの推移を予測すると、2006年は3Gの成長期・普及期にあるが、KDDIは一足先に3.5G・定額制の成長期に入る。これがコンテンツの流通にも影響するとした。流通に関しては、蓄積しないストリーム型と蓄積するダウンロード型が主流。しかし、利用回数や期間を制限するメディアストレージ型の利用シーンが増えていくとしている。
新プラットフォームS60の展開と開発支援
~ ノキアの世界戦略では日本もターゲットに ~
ノキア・ジャパンからは、テクノロジープラットフォーム Forum Nokia日本代表 ビジネス開発部長 遠藤元宏氏がS60の状況と開発支援を行うForum Nokiaの説明を行った。秋口から製品名のルールが変わり、ローマ字+2桁数字になった。NはノキアのNとのこと。N91は4GHDDを内蔵したミュージックケータイ、N71はFMチューナーやQVGA液晶、2メガカメラなど持つ日本的モデルとなっている。N80は、3メガピクセルカメラ、無線LAN付きのカメラ機能重視モデルで来春発売予定。N92は、モバイル放送受信可能なDVB-Hレシーバーを持つ。E60は通話機能優先でプッシュトゥートークや無線LANなどを搭載。E70はQWERTYキーを装備し、E61はモバイルEメール機能が充実している。Eはエンタープライズソリューションで、ビジネス系機能を満載したモデル。そのなかでもE60、E61は新プラットフォームS60を採用している。
海外へコンテンツを提供しているプロバイダなどに対してはGSMのネットワークでの実験が可能な設備を貸し出している。ノキア・ジャパン内にあるこの設備はシールドに覆われ、電波が外に漏れないようにしている。端末の貸し出しもノキア・ジャパンが行っている。ネットワークは専用線で北京につながって、ネットを利用したサービスのテストも行える。
マルチ・メガバイトSIMカードの事例を紹介
~ 日本ジェムプラスが1GB級のSIM供給を目指す ~
代表取締役テレコム事業本部長 Lambinon,Christophe氏が、SIMカードが携帯電話市場を大きく変えていく製品であることを説明した。
GX Generationsはキロバイト級、GX Generations Multimediaはメガバイト級。SIM内に個人データと設定、コンテンツも数多く記録できる。これにより、機種変更時は、SIMの差し替えだけでOKとなる。データは失われないうえ、デジタル著作権管理も有効であるとした。
事業者にとってもメリット多く、SIM内にオペレータのブランドイメージやスキンを格納できる。特に日本ではオペレータのカラーが強いため有効。2008年には1GB級のSIMの提供を目指している。SIMにはIPが割り当てられ、ネットワークからもSIMを見られるようになる。PCとも連携でき、USB接続して内容が書き換えられる。端末との通信速度も現在の300kbpsから50Mbpsまでアップさせる。
このSIMをオペレータの1社が発表。SIMにはあらかじめ着信音2曲とスクリーンセーバー5個、ムービー3本が入っているとした。
初日の最後を飾ったニワンゴ
~ メールポータルの全貌が ~
ニワンゴからは代表取締役 杉本誠司氏と取締役管理人 西村博之氏が登場。メールポータルサービスの事業展開を説明した。発端はブラウザサービスより幅広いユーザが利用しているメールサービスを使ったビジネスの可能性を探るため。m@niwango.jpにメールを出すことで、サービスが受けられる。たとえば、"乗換 東京 渋谷"と入力してメール送信すると、東京駅から渋谷駅までの乗換案内の検索結果が送られてくる。"天気 渋谷区"と入力して送信すると渋谷区の天気予報が送られてくる。予定していない語句が送られてきた場合は、近いと思われる情報を返信してくる。場合によっては、新しい情報を追加したときに、追加情報を送ることもあるとのこと。また、メールアドレスを発行する可能性も否定していない。この場合は、コミュニティツールとして進化していくだろうとした。
そのほかの講演
京セラコミュニケーションシステム ITプラットフォーム事業本部 インターネットビジネス事業部長 徳丸浩氏は、SQL インジェクションによるサイト攻撃の事例を紹介。ケータイでも狙われる可能性があること、対策が急務であることを説明した。エイタロウソフト 代表取締役・CEO 西島栄太郎氏は、モバイル版のLooking Glassを紹介。小さい携帯電話の画面を有効活用できる3Dインターフェイスのデモを行った。アイフリーク 代表取締役 永田万里子氏はデコメールの可能性について言及。今後、市場のけん引役になるとした。
(FMOBILE編集部)